2008/3/3 月曜日

卒業式 式辞

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ

『 式  辞 』

校長 荒木 孝洋

  躍動する春の息吹が次第に高まりつつあるこの佳き日に、多数のご来賓・保護者の皆様にご臨席賜り、第47回卒業証書授与式を盛大に挙行できますことは、私たち教職員にとりましてもこの上ない喜びであります。ご臨席賜りました皆様に心より感謝申し上げます。

 さて、298名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんの晴れの門出を心より祝福します。皆さんの心にはこれまでの出来事のひとつひとつが、感動・感激として走馬燈のようによみがえっていることと思います。 今日の卒業式は本校を巣立っていく日であると同時に、新たな旅立ちの日でもあります。夢や希望に胸ふくらませ、そして、自覚と決意を新たにして堂々とスタートして頂きたいものです。

 ところで、昨今の社会事象を見ていますと、「物が栄えて、心が滅んでいる」のではないかと思えるような凶悪事件や倫理観を欠如した出来事が生じており心が痛みます。 一方では、雇用不安や経済問題など、先行き不透明な材料も多く不安ばかりが増幅してしまいますが、若い皆さんにはぜひ、誠実とか努力と言った事を前提として、「個性」の花を咲かせて欲しいと願っています。その為に、皆さんに二つのことをお願いしたいと思います。 

一つは「失敗を恐れずにチャレンジして欲しい」と言うことです。 読売巨人軍の元監督長島茂雄さんは、現役時代に各種タイトルを総なめにした人ですが、その現役のスタートは大失敗から始まりました。長島選手は、当時押しも押されもしないトップ選手として巨人軍に入団しました。六大学野球で向かうところ敵なしできたルーキーに慢心がなかったといえば、ウソになるでしょう。この試合で、相手投手は当時プロナンバーワンピッチャーと言われた金田正一投手です。四打席連続四三振でした。長島選手は、家に帰るまでほとんど口を開かなかったそうです。長島選手が偉いのは、この日を境にして自らの野球に取り組む姿勢をガラッと変えたと言うことです。それから、練習の鬼と言われるようになりました。その後の活躍は皆さんもご存じの通りです。 若者にとって望ましいのは失敗を恐れたり困難から逃げることではなく、それを乗り越えていく逞しさであり行動力だと思います。失敗を恐れ、縮こまっている状態からは斬新な発想は生まれません。悲しみや苦しみ、挫折などに出会いながら、その底に流れる本当の自分の願いや生き方に目覚めることに大きな意義があります。他人の見てないところでもベストを尽くす若者であって欲しいし、迷ったときはむしろ困難な道を選ぶ位の勇気も培って欲しいと思っています。

二つめは「出会いを大切にして欲しい」と言うことです。 4月になると、すべての人が、新しい場所で、新しい人間関係の中で、新しい事への取組が始まります。昨日まで知らなかった者同士が、明日は同じ教室で机を並べて勉強したり、同じ職場で仕事をすることになります。しかも、この出会いは気の合う人ばかりとは限りません。気の重いつき合いにも逃げずに臨んで頂きたいものです。 仏教の解説書に『縁尋機妙、多逢勝因』と言う言葉が出てきますが、その意味は『人と人の出会いは不思議なことだ。縁が縁を結ぶ。よき出会いがよき実を結ぶ』と言うことです。人やよき書物、そして豊かな自然との出会いを通して、感動したり、啓発されながら人は成長し、豊かな人生を形作っていくものだと思います。これまでの出会いに感謝し、これから出会う人ともお互いに心を通わせながら、そして自らも研鑽を積むことで、「この人に会えて良かった」、と人から慕われ、そして、頼られる人間になって頂きたいと思います。 以上二つのことを述べましたが、21世紀は若い人たちの活力とエネルギーを必要としています。キーワードは、パッション、ミッション、アクションです。熱意と使命感と行動力があればたいていの困難は乗り越えることができます。他人の痛みや悲しみに心を砕き、社会のことや地球規模の環境問題にも関心を寄せながら、平和で心豊かな社会が実現するよう、一人ひとりが心と体を動かして頂くことを強く切望します。

 さて、保護者の皆様、お子様のご卒業誠におめでとうございます。自分の世界ができて自立を始めた我が子の成長に、一抹の寂しさを覚えつつも、思わず目を細めていらっしゃるのではないでしょうか。心からお慶び申し上げますとともに、これまでの本校の教育活動に対し、物心両面からご協力・ご支援頂きましたことに深く感謝申し上げます。誠にありがとうございました。 考えてみますと、親子が一緒に生活する期間はそれほど長くありません。皆さんの中には、あとひとつきもすれば、県外の大学や会社に進学・就職するため、別れなければならない方もあります。一緒にいる間に、教えることは教え、伝えることは伝えながら、充実した時を子供と過ごしたい。それが親心だろうと思います。 私どもがそうであったように、子供の進む道にも、大小様々な壁の厳しい試練が待ち受けていると思います。そんな試練に果敢に立ち向かうとき、子供の幸せを願う親心は、大きな励ましとなるに違いありません。 私ども教職員も同じように、本校の使命を肝に銘じ、生徒一人ひとりの幸せを願いながら、渾身の力をこめて御子弟の教育に携わって参りました。しかし、御期待に添えない点も多々あったのではないかと思っております。ただ、お子さんの人生はこれからです。開花する時期に早い、遅いはあっても、文徳高校で学んだということは、必ず、長い人生の中で、生きてくるものと信じております。今後も、保護者の方々と共に温かく見守って参りたいと思います。 卒業生の皆さん、いよいよお別れの時が来ました。青春の丘、文徳学園は諸君にとって永遠の故郷です。辛いとき、寂しくなったとき思い出して下さい。必ずや諸君の勇気を奮い立たせてくれることでしょう。 志を高く持ち、何事にも臆することなく自分の人生を邁進して頂きたい。そして、文徳高校を愛し、母校の後輩たちにエールを送り続ける頼りになる同窓生となっていただきたい。諸君の前途に幸多かれと祈り式辞と致します。

                           平成20年2月29日

                  

2008/2/14 木曜日

「節気」

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ

『 節 気 』


校長 荒木 孝洋

▲生活の中の時間の進み方には主に二つのイメージがある。過去から未来に向けて直線的に進むという考え方がひとつ。もうひとつは季節が冬から春に変わるように時間は循環し、一年経つと元に戻るという考え方だ。

▲今ではあまり見かけなくなったが、毎月5日前後と20日前後に『節気』を印したカレンダーがある。二月四日の立春に始まり、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至と続く、二至二分四立と呼ばれ馴染み深い節気だ。さらに、気象や気温によって、小暑、大暑、処暑、小寒、大寒、雨水、白露、寒露、霜降、小雪、大雪が印してある。これに啓蟄、清明、小満、穀雨、芒種を加えるとちょうど24節気になる。標記されている漢字の一つ一つに季節感が溢れ四季の移り変わりがよくわかる。もともと農耕民族である日本人は、春夏秋冬と循環する時間の感覚を大切にしてきた。農家では、春に種をまき、成長を見守り秋に収穫する。冬は次の種まきに向けて準備をする。つまり、一年のサイクルを作物という『相手のペース』にあわせて生活していた。炬燵や団扇で寒暑を凌ぎ、食事も季節の野菜をうまく調理して栄養を摂っていた。四季折々の行事は人と人との絆を深め、桜を見ては皆で春の訪れを喜んだ。時間の主導権は人ではなく自然の側にあったのだ。

▲ところが、1960年代を境に、高度成長路線を走り出した日本は工業国へ変身し、循環する時間の捉え方が大きく変わった。工業社会は自然のペースに合わせる必要がない。人も機械も24時間体制でフル稼働し、右肩上がりの経済成長が続き、時間のイメージも過去から未来へ進む直線的な捉え方が強まった。確かに、歴史は直線的な時間の集積だが、『歴史は繰り返す』とも言われるように、人類は歴史を循環する時間と捕えることで生き方・在り方を修正してきた。明治維新から140年。ハイテク社会に成熟した日本の成長・発展にも翳りが見え始めた。少子化、規範意識の希薄化、温暖化など『上に、前に』だけでは解決できないことが多くなった気がする。さらには、地球規模の食料不足や経済不安を考えると、衣食住に満足している我々の日本人の生活も過渡期を迎えている。飽食・成長から豊食・整長へとUターンするときが来たようだ。

▲“めぐる めぐるよ 時代はめぐる・・・・”昔流行った中島みゆきの歌を想い出した。循環する時間の復活などと言えば「時代遅れ」と言われそうだが、直線的な時間だけではなく、季節が冬から春に変わるように、一年経つと元に戻る景色や懐かしさも大事にしたい。暦の上では間もなく雨水(2月19日)、啓蟄(3月6日)。三寒四温の季節を過ぎると冬眠していた虫たちも蠢き始める。春間近か、学校も職場も旅立ちと出会いの季節を迎える。梅に桜、巡り来る春に乾杯!

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