2008/2/14 木曜日

「節気」

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ

『 節 気 』


校長 荒木 孝洋

▲生活の中の時間の進み方には主に二つのイメージがある。過去から未来に向けて直線的に進むという考え方がひとつ。もうひとつは季節が冬から春に変わるように時間は循環し、一年経つと元に戻るという考え方だ。

▲今ではあまり見かけなくなったが、毎月5日前後と20日前後に『節気』を印したカレンダーがある。二月四日の立春に始まり、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至と続く、二至二分四立と呼ばれ馴染み深い節気だ。さらに、気象や気温によって、小暑、大暑、処暑、小寒、大寒、雨水、白露、寒露、霜降、小雪、大雪が印してある。これに啓蟄、清明、小満、穀雨、芒種を加えるとちょうど24節気になる。標記されている漢字の一つ一つに季節感が溢れ四季の移り変わりがよくわかる。もともと農耕民族である日本人は、春夏秋冬と循環する時間の感覚を大切にしてきた。農家では、春に種をまき、成長を見守り秋に収穫する。冬は次の種まきに向けて準備をする。つまり、一年のサイクルを作物という『相手のペース』にあわせて生活していた。炬燵や団扇で寒暑を凌ぎ、食事も季節の野菜をうまく調理して栄養を摂っていた。四季折々の行事は人と人との絆を深め、桜を見ては皆で春の訪れを喜んだ。時間の主導権は人ではなく自然の側にあったのだ。

▲ところが、1960年代を境に、高度成長路線を走り出した日本は工業国へ変身し、循環する時間の捉え方が大きく変わった。工業社会は自然のペースに合わせる必要がない。人も機械も24時間体制でフル稼働し、右肩上がりの経済成長が続き、時間のイメージも過去から未来へ進む直線的な捉え方が強まった。確かに、歴史は直線的な時間の集積だが、『歴史は繰り返す』とも言われるように、人類は歴史を循環する時間と捕えることで生き方・在り方を修正してきた。明治維新から140年。ハイテク社会に成熟した日本の成長・発展にも翳りが見え始めた。少子化、規範意識の希薄化、温暖化など『上に、前に』だけでは解決できないことが多くなった気がする。さらには、地球規模の食料不足や経済不安を考えると、衣食住に満足している我々の日本人の生活も過渡期を迎えている。飽食・成長から豊食・整長へとUターンするときが来たようだ。

▲“めぐる めぐるよ 時代はめぐる・・・・”昔流行った中島みゆきの歌を想い出した。循環する時間の復活などと言えば「時代遅れ」と言われそうだが、直線的な時間だけではなく、季節が冬から春に変わるように、一年経つと元に戻る景色や懐かしさも大事にしたい。暦の上では間もなく雨水(2月19日)、啓蟄(3月6日)。三寒四温の季節を過ぎると冬眠していた虫たちも蠢き始める。春間近か、学校も職場も旅立ちと出会いの季節を迎える。梅に桜、巡り来る春に乾杯!

2008/2/1 金曜日

「じっくり・ゆっくり・タップリ」

Filed under: おしらせ — admin @ 9:48:39

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ

『 じっくり・ゆっくり・タップリ 』

校長 荒木 孝洋

▲作家の五木寛之氏は対談の中で、「人間はなぜ歌ったり、絵を描いたりするのか」の問いに対し、「それは心の栄養というものでしょう。人間は口からモノを入れる栄養だけでは、生命を維持することはできても生きているとは言えない。心がパサパサになっては生きている意味がない。人が心に栄養を摂るとは、人と人とが心のやりとりをすることです。歌や絵や笑顔や会話がそれにあたるのでしょう」と答えています。

▲ところで、日本人はどれほどの人が美術館に足を運んでいると思われますか。ロンドンで発行されている月刊『The Art Newspaper(芸術教育)』によると、平成18年の1年間、世界中で開かれた数多くの美術展の中で、最も人を集めた上位3つが、みな日本で開かれたものだそうです。第1位が東京国立博物館の平成館で行われた『北斎展』、2位が同じ東博で行われた『唐招提寺展』、3位が横浜美術館で行われた『ルーブル美術館展』、以下ニューヨークやパリのものが続いた後、7位にルーブル美術展の京都市美術館、10位に東京国立美術館の「ゴッホ展」と続いています。順位は、各美術館が公表した総入場者数を開催日数で割った1日の平均入場者数を比べたものです。北斎展は9,436人で、同紙が統計を取り始めてから最高の数だと報じています。因みに、熊本県立美術館の一日の平均入場者数(平成16年)は本館・分館あわせて343人だそうですから、その多さにはビックリします。さらに、同紙は、日本の美術展がそれほど人を集める理由を、『美術館や博物館が独立行政法人になって、入場料収入とショップの売り上げで予算を賄わなくてはならなくなったからか?・・・東博平成館の広さに見合った収容人員は一日2,000人程度で、こんなに詰め込むのは無理がある』と、入場者数の多さについて揶揄的に論評しています。海外の美術館でも、日本人は多いがみな早足に通り過ぎている、と外国人から言われている。いわゆるミーハーか?いつも駆け足で美術館を廻っている自分の姿を思い浮かべ、“なるほど”と、この論評に苦笑してしまいます。本来、芸術鑑賞は“じっくり、ゆっくり、タップリ”が基本のはずです。一人あたりの鑑賞時間の長短を諸外国と比較したらどんな結果が出るか知りたいものです。

▲五木さんの言葉にもあるように、人生という旅の途中、ちょっと心が疲れたなと思ったら、心を和ませてくれる楽しいこと、つまり「心の栄養」がいるような気がします。絵でも書でも音楽でもいい。体操でも散歩でも・・・。スピードと効率ばかりが求められる昨今の娑婆ですが、老若男女を問わず、時には歩くテンポを変えて「ユックリズム」を愉しむ時間がいるようです。時間と空間を日常から非日常にうまくチェンジしながら、心と体のエネルギーを再沸騰させたいものです。

▲本校では、今年度から美術専攻を開設しました。1年生7名が学んでいます。ほとんど素人に近い生徒たちですが、授業以外にも毎週、木曜午後には専門学校に出向き基礎を勉強し、土曜日は崇城大学芸術学部の先生方から彫刻、油絵、日本画、デザインの専門に分かれて個人指導を受けています。技量もメキメキ上達していますので、作品展ができる日も間近だと思います。普通科の新1年生には入学時に希望をとります。

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