2009/6/24 水曜日

森を見て木を見ず

Filed under: おしらせ — admin @ 13:10:57

文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第47号

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               『森を見て木を見ず』

                         学校長 荒木 孝洋

 今、世界経済は百年に一度の不況だと言われている。日本もまたどん底だと騒いでいる。

本当にどん底なのだろうか。たった六十年ほど前には、日本人は日々空襲に怯えていた。

国民の財産が没収され、お寺の鐘まで国に持っていかれた。そして、最後には、尊い命まで差し出さなくてはならなかった。

「不況」などと悠長なことを言っている場合ではなかった。

 今の日本は戦争が起きているわけではない。内戦もないし爆弾が落ちてくることもない。食べ物に不自由することもない。そんな天国のような日常にいながら絶望している。

それが今の日本ではないか。どうしてこんな閉塞感に包まれているのか。どうすればそこから抜け出せるのか。私は、テレビも洗濯機も自動車もない時代に育った。しかし、無いことを不自由と感じたことは一度もない。しかも、周りの誰もが人を物を慈しんで生活していた。「これがなければダメ」ではなく「これがなくても、あれがある」と、目の前にあるものをプラスの目で見ることが、この閉塞感を打破するヒントになりそうな気がする。

贅沢になれてしまった人はそれを失ったときに打ちひしがれてしまう。勝ち続けて悲しみを知らない人は、やがて傲慢な人間になりがちだ。マイナスを用心深く避けて生きていくと最後は大きなマイナスに辿り着いてしまう。マイナスの経験があってこそ、人は我慢することを知り他人に対して寛大になれると思う。今がマイナスの状況にあったとしても、それがいずれはプラスに転じると信じたい。そう思わないと、人生はヘトヘトに疲れてしまう。考えてみると、ひとりの人間が実感できる範囲はとても狭い。いかにグローバルな時代だと言われても、自分で感じられる範囲は限られている。例えばアフガンで物凄い内戦があったとしてもそれを実感することは無理だ。

ニュースの映像を見ても我が事として実感することはできない。様々な出来事がグローバルと言う言葉に煽られて伝わってくる。『木を見て森を見ず』と言う諫言があるが、今の日本人は『森を見て木を見ず』の状況にある。世界に関心を抱くことは大切なことだが、あまり遠くばかり見ていて自分の近くが見えなくなることがある。遠くで困っている人を助けようとするけど、近くで困っている人に目を向けようとしなくなるようでは問題だ。大切なことは、自分で実感できる範囲に目を向けることではなかろうか。メディアが何と言おうと、自分の実感を大事にしたい。

 本校では、心を磨くことを教育の根幹に据えているが、心は見えないだけに磨くのがヤッカイだ。まずは見える物から磨くことを勧めている。今いる場所、今あるもの、今置かれている状況を見つめ直すことから始まる。「一隅を照らす」と言う言葉があるが、それぞれがなんとか自分も灯になろうと努力したい。そんな教育を、文徳学園は、「これまでも」「これからも」続けていきたい。

 いよいよ梅雨本番、毎日雨ばかり続くと気が滅入る季節だが、雨が降らなければ虹はできない。辛い出来事に遭遇したり、苦しい状況が改善せず悩んでいるときなどは、まさに雨が降っている状態。一見暗くて冷たいものだが、鮮やかな虹を架けるための下準備をしていると思いたい。

虹に自分の夢に重ねると辛さも悩みも少しは軽くなりそうだ。

2009/6/11 木曜日

相手がいるから強くなれる

Filed under: おしらせ — admin @ 12:46:18

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ

                          『相手がいるから強くなれる』

                                         学校長 荒木 孝洋

 5月24日の予選から始まった県高校総合体育大会も6月2日のサッカー決勝を最後にフィナーレを迎えた。特に、三年生にとっては最後の大会だけに、かける意気込みも下級生とは違う。応援団である大人達は若者の溌剌としたプレーやマナーに元気をいただいた。しかし、残酷なことに、試合をすれば必ず勝者と敗者がでる。いつもの光景だが、試合が終わると、歓喜の涙と悔し涙が交錯して見ている者ももらい泣きしてしまう。スポーツをしている若者は清々しい。負けて涙していた生徒もしばらくすると、悔し涙を勝者への賞賛に変える。感動が感謝へ変わる瞬間だ。これが高校生大会の醍醐味だと思う。

 今大会のキーワードは「感動」と「感謝」。「相手がいるから強くなれる」と言う言葉を実感する場面である。試合に負けても人間として逞しく成長していくことだろう。 今回は、私も空手、相撲、サッカーの専門部長として大会運営に参画したが、多くのサポーターの助けがあって大会が成り立っていると言うことを実感した。各学校の顧問の先生や補助員、外部に依頼した審判員の方々のボランティア的支援にただただ感謝するのみ。

 そんな中で、思いがけないサポート場面があったので紹介する。場所は空手の試合会場である。2日間で行われる試合日程。1日目で敗退した熊本工業高校の選手諸君は、2日目の朝、「自分たちは試合はないが大会運営のお手伝いをしたい」と言う思いから全員がゴミ袋を持参し、会場周辺のゴミ類を集めていた。空き缶、たばこの吸い殻、パンの袋など、随分前に捨てられていたと思われるものまで集めていた。

  閉会式で、「相手がいるから優しくなれる」「相手がいるから生きていける」とコメントを添えて、この話を選手諸君に紹介した。熊工の生徒諸君が人間の生き方を皆に教えてくれたことに感謝する。

 ところで、本校には4つの生活信条がある。「奉仕精神を旺盛にする」「人の立場を深く理解する」「物を大切にする」「礼儀作法を実践する」。いずれも相手の立場に立って考え行動することを願って定めたものだ。ちなみに、自分の学校の生徒のことだから紹介するのは少し気恥ずかしいが、本校の空手部の選手諸君は、前日夜遅くまで会場のマットを敷いて、当日片付けを終えたのは閉会式終了後2時間たった6時であった。生活信条を実践していることを嬉しく思う。

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