2009/7/14 火曜日

生きた証はどこにある

Filed under: おしらせ — admin @ 11:45:02

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第48号 
              

            『生きた証はどこにある?』

                      学校長 荒木 孝洋

 「サラリーマンはつまらない。ベンチャーみたいに楽しい仕事をしたい」と考える若者が増えていると聞く。マスコミの取り上げ方にも問題があると思う。ベンチャー企業の成功例ばかりが伝えられ、あたかもベンチャーで成功した人だけが楽しい仕事ができて生き生きとしているような誤った認識を広げているからだ。一般企業の方であっても生き生きと面白く仕事をやっている人はたくさんおられる。楽しく仕事をしている人の共通点は仕事をポジティブにとらえ、「生きた証を残そう」と言う意気込みが感じられることだ。 

 日本人はもともとはポジティブな性質を持っていたのではないかと思う。飛行機がない明治時代にアメリカまで船で行った人がいたり、福澤諭吉などは何年間も蒲団の上で寝たことがないというくらいの勤勉家で、数ヶ月でオランダ語を話せるようになったと言われている。

 勝海舟は、オランダ語の辞書を借りて、二冊書き写し、一冊を売って借り賃を払ったそうだ。辞書を丸ごと書き写すなんてことも昔の日本人は平気でやっているわけだ。そして、外国人に対してもどんどん話しかけ自らの考えを主張している。

 高杉晋作は英・仏・米・蘭との講和会議で彦島の租借要求を頑としてはねつけている。めちゃくちゃポジティブだと思いませんか。

 しかし、いつ頃からかネガティブな生き方をする日本人が増えてきた気がする。振り返ると、70年代後半にオイルショックがあり、85年にプラザショック、90年代はじめのバブル崩壊と3度の物凄い経済危機に見舞われた日本人は、次第に「ガンバル」とか「泥まみれになる」ことがダサいと思うようになり、「頑張ったっていいことなんかないじゃないか」と虚無的になってきたような気がする。

 「ゆとり教育」もしかり。「ゆとりを持ってじっくり学ぶ」方向性が曲解され、「頑張らなくてもいいから、貴方のペースでいいのよ」とマイペースを助長してしまった。それを信じた人は不幸だと思う。海外のリーダー教育には、リーダーはタフでなければいけないという考え方があり、日常生活にも文武両道を求める。スポーツにも勉学にも全力投球するハードなスケジュールだからこそ、時間の使い方とか、他者とのコミュニケーションとか、耐える力が身につくと考えている。実は、このことはリーダーでなくても誰にでも当てはまることだと思う。本当に人が困ったときにいつも一生懸命に頑張ってくれるのは、ちまちまと批判したり斜めに構えている人ではない。やはり体を張って何かをやってくれる強いハートを持った人である。歳を重ねると、斜めに構えることが如何につまらないことだかわかってくる。前向きにエネルギッシュに努力していくことが本当の楽しさだということを、馬鹿にされようともやり続けたいものだ。学校で、地域で、職場で、家庭で、自分が所属しているすべてのコミュニティで精一杯頑張る。それが人の幸せの根幹であり、そこに感じる幸福感こそ「生きた証」であると思う。 

 今年は、100年に一度と言われる経済不況で高校生の求人も激減しそうだが、進学する人も就職する人も「めげずに頑張ろうよ。夜明けのない明日はないはずだから」とポジティブに励まし合う文徳仲間であって欲しいと願っている。 

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