2010/1/29 金曜日

心の安全基地

Filed under: おしらせ — admin @ 11:31:40

文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第59号

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                    『心の安全基地』

                       学校長 荒木 孝洋

 学校の玄関を入ると、正面に、春の訪れを告げるかのようにネコヤナギと菜の花に彩られた生け花が飾られている。事務室の工藤さんと吉本さんの作品である。間もなく立春、校庭の梅も蕾を膨らませている。今日(26日)は私立高校一斉の特待・専願入試の日、教室では1791名の受験生が必死になって問題を解いている。まだあどけない顔をした15才の子ども達にとって、受験は過酷ではあるが、難関をクリアーし笑顔で春を迎えて欲しいと心から願っている。 

  先日ある本屋さんで、少年院に収容されている少年たちの歌を掲載した雑誌が目にとまった。遠く離れた少年院で教護生活を送っている少年達の母親への慕情を短歌にしたためたものである。一部紹介する。

 ◇呼びたくも 呼ぶことならず 硝子戸に 息吹きかけて 母と書くなり

 ◇こぼれ湯を 指にぬらして 母の名を 書けば寂しく 消えてゆきけり

 ◇嫁ぎゆきし 母を尋ねて 山越えの 五里を歩きし 少年のころ

 ◇我のみに 解るつたない 母の文字 友いねたれば しみじみと読む 

 「お母さんの味」がひしひしと伝わってくる。著者の添え書きに「過ちを犯し非行に走った少年達でも、幼い頃母の肌に抱かれて母乳で育ち、母の愛情を一杯受けた少年達は必ず立ち直ってゆく復元力をそなえている」と書かれていた。男性は子供を産むこともオッパイをやることもできないが、子供のことを心配したり期待する気持ちは母親にも負けないぐらい強い。でも、父親と母親を見つめる子供の目は違う。私自身の子供のころを振り返っても、父親より母親と話した頻度がはるかに多い。我が子も同じだ。息子の電話の相手はいつも母親である女房だ。母親の麗しき愛情は子供にとって『心の安全基地』であり『何時でも帰れるSECURE BASE』なのだろう。 

 ところで、リーマンショック以来、経済状況が悪化し、先行き不透明で安定志向ではやっていけない時代になったが、未来を担う子供たちの『心の安全基地』確保は大人たちの最優先責務だと思う。確かなことと不確かなことが混ざり合った状態を「偶有性」と言うらしいが、人間は帰れる場所や安心があると不確かなことにもチャレンジできる。また、百の確実なことがあれば、百の不確実なことを受け入れ挑戦することができる。

 坂本龍馬は国を守るという強い信念を『心の安全基地』として脱藩し、不確実な世界に飛び込んでいった。龍馬の時代と今とでは時代背景は違うが、「偶有性」という点では似ている。大人達が現実の厳しさばかりを語っていては、子ども達の『夢』や『希望』が萎えていく。無謀だと思えるようなチャレンジでも応援してやれる大人としてのプリンシプルが求められている。文徳学園はこれまでもそうであったように、これからも、全ての生徒の『心の安全基地』でありたいと思っている。我々教職員は母親の麗しき愛情にも負けない愛情を子ども達に注ぎ続けていきます。

2010/1/13 水曜日

藤本選手がんばれ

Filed under: おしらせ — admin @ 13:12:37

文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第58号 
                              

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                       『藤本貴大選手 ガンバレ!』

                                    学校長 荒木 孝洋 

   新年明けましておめでとうございます。暦の上では5日が小寒、20日が大寒、2月4日の立春までは日本列島全体が氷に覆われたように寒い。学校は8日に全国一斉に3学期を迎えたが、この学期は入試や卒業式などの行事が多く他の学期に較べると授業日が少ない。逆に、生徒諸君はその分自分の時間が増えるわけだから、『目標』を持ち、『計画的』に過ごして欲しいと願っている。 

   新年早々嬉しいニュースが舞い込んだ。本校平成16年卒の『藤本貴大(24才)』さんのバンクーバー冬季オリンピック出場だ。もちろん、南国熊本から冬季オリンピックに出場するのは彼が初めて、しかもトリノに続いての連続出場だ。彼は父親の仕事の関係で小学3年まで北海道で過ごし、その後熊本に帰り、西合志で小学・中学時代を過ごし、平成12年に文徳高校に入学した。残念ながら、文徳高校にはスケートの練習場所はない。悪戦苦闘の練習が続いたようだ。高校時代のことを彼は次のようにコメントしている。 「(前略)私は、物心つく前から始めたショートトラックスピードスケートを通して、多くのことを学んできた。特に、平成12年に入学した母校文徳高校のスケート部は、優秀な先輩が卒業されたばかりで、私と山下公博君の2名での再スタートであった。しかし、南国熊本に充実した練習場はなく、競い合うライバルも少なかった。練習環境以外にもトップ選手の情報が乏しく、スケートをする上で恵まれた条件にはほど遠かった。半面、『何も知らない』・『競う相手の顔が見えない』そういう環境が自分を高める最高の条件でもあった。

   練習は氷上に乗ることだけではないと反骨精神旺盛になっていった。夏場の陸上でのトレーニング・筋トレには特に力を入れた。練習場所には片道1時間半を自転車で移動した。不利な環境の中でも創意工夫し、考えて練習するスケートが身につき始めた。発想を転換し、整った環境の選手には負けられないというハングリー精神に満ちあふれていた。逆境や苦労も諦めなければ飛躍のバネになる。挑戦するということは不安がつきまとう。苦労や壁に遭遇すれば、人は楽な道に流れがちである。私もそんな人間の一人であったが、大好きなスケートで大願を成就させるという目標を立てることにより考え方が変わった。楽なことを求めても進歩はない。挑戦する前向きな気持ちが、後に良い結果をもたらす。夢や目標というのは、挑戦し続けることで叶うものと私は考えている。(中略)トリノでは『出場する』ことを目標にしていたが、バンクーバーでは『入賞する』ことを目指している」と決意を述べている。 

   先日、知事や熊本市長の表敬訪問に私とスケート部の顧問でもある横田教頭も同行した。礼儀正しく笑顔がいつも絶えない好青年である。移動の車の中では「滑っているときより緊張する」と話していたが、日本代表としての自分の立場や心境・決意を堂々と述べていた。1ヶ月後はいよいよ本番、『ガンバレ』としか応援できないが、きっと結果を出してくれそうな気がする。

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