2010/12/16 木曜日

竜馬からのメッセージ

Filed under: おしらせ — admin @ 11:44:28

文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第76号 

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            『龍馬からのメッセージ』

                           学校長 荒木 孝洋

 NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の影響で、今年は坂本龍馬が大流行した。私も毎週日曜日の放送を楽しみにしていた。先日の最終回、大政奉還を前にした龍馬と中岡慎太郎は刺客に襲われあえなく命を落としてしまう。一年間を振り返ると、さまざまなヤマ場があったが、とりわけ「薩長同盟」が結ばれる場面が最大のヤマ場だった気がする。もともとはお互いを憎悪の対象としか見ていない犬猿の仲の薩長両藩である。団結のキーワードは「志」である。長州の桂小五郎と薩摩の西郷隆盛の会談が決裂しようとしたとき、「みんなあ、“志”を貫き通して、消えていった命です。そのもんらあの“志”も、この薩長の盟約に入れてもらえませんやろうか?・・・傾きかけちゅう『この国を立て直すために、双方とも粉骨砕身尽力する』と言う条文を・・・」と龍馬が語る。 ひとつの出来事に至るまでには、さまざまな打算もあれば思惑もある。しかし、それを超えて存在するのが「志である」ことを龍馬は二人に土壇場で語りかけたのである。

  ところで、先日、熊本県退職校長会の中村貞夫会長から「熊本教育の人的遺産100(執筆は退職校長の先生方)」という書籍を頂いた。先人の先生方の教育に対する熱い思いと行動力にはただただ敬服してしまう。教育力再生の提言と受けとめたい。巻頭言は潮谷義子前知事である。一部抜粋して紹介する。「今日、教育を取り巻く環境は深刻な状況にある。無縁社会、消えた高齢者、孤立、孤独死、自殺、虐待など、子どもたちによい影響を与えていない現実がある。こんな社会に育つ子供達は、まるで社会の合わせ鏡のようにいじめ、非行、不登校や引き籠もり、万引きなど、人への信頼も居場所も不確か、生命の重さ、暮らしの方法さえ身につかず、友情も人の情愛もわからない育ち方をしている」と。全く同感だ。政治の世界もしかり、日本沈没の危機にありながら、子供じみた相変わらずの駆け引きと勢力争い。国民はなかば諦観の様相である。こんな世相になると必ず「昔はよかった」とか「強い指導者が欲しい」という言葉が出てくる。しかし、それで解決するのだろうか。例えば、龍馬の生きた時代は現代より過ごしやすかったのだろうか? 横暴なリーダーに国を任せたばかりに世界大戦に突き進んでしまったことを思いだしたい。

 いつの時代もそうだが、歴史は一般庶民の知恵と努力で作られてきた。そして、我々教師もそうであるように、どの仕事にも褪せてはならない使命感や責任感が必要だ。加えて情熱がないと続かない。すべての物事が「下り坂」「まさか」と思える厳しい時代だが、現実から目をそらしてはいけないと思う。事実に関心を持ち時代を呼吸してきた人たちの思いをきちんと受けとめながら前に進むことが今在人の責務ではなかろうか。明治維新の大偉業を成し遂げた龍馬の志も「熊本人的遺産」に掲載されている先人の志も、原点は「情熱」と「使命感」と「責任感」だと思う。時代も、人も、世界との繋がりも今とはみな違うが、それでも、求めるものには共通点があるはずだ。不況も就職内定率低下も心配事だが、「ガンバレ、へこたれるな若者よ。志高く生きよ」。それが先人から今在人へのメッセージと受けとめたい。繰り返しになるが、「情熱と使命感と責任感があれば前に進める」。

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