2012/11/20 火曜日

名前の不思議

Filed under: おしらせ — admin @ 9:31:03

文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第105号 

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         『名前の不思議』

                 学校長 荒木 孝洋 

 人との出会いは名前との出会いでもある。日本人の名前は多種多様で、難読な氏名も多く、一説によると十万種類以上(世界で米国に次いで二位の多さ)もあるそうだ。姓(苗字)には、地名や一族の歴史が刻まれていることも多く、中には見慣れない珍しい漢字もあれば、「与那嶺」さんのようにすぐに沖縄出身の方ではないかと推察できる場合もある。しかも、厄介なことに、簡単な漢字でもフリガナがなければ誤読してしまうケースもある。例えば、「山崎」君はヤマザキなのかヤマサキなのかいつも躊躇する。さらに、名前となると男女の区別もつかないほど多種多様に広がる。「咲里南」と書いて「エリナ」と読み、「碧規」と書いて「アキオ」と読む生徒がいるが、ふりがながなければ読むのがおぼつかない。個々人の名前には、親の思いだけではなく時代風潮も反映しているから、生まれてくる子供とともに日々種類は増え続ける。

 明治安田生命HPによると、平成23年生まれの赤ちゃんの名前ベスト10は多い順に以下の通りだそうだ。男子は、大翔・蓮→颯太→樹・大和・陽翔→陸斗・太一→海翔→蒼空・翼。女子は、陽菜・結愛→結衣→杏→莉子→美羽・結菜・心愛・愛菜→美咲。読み方が大変だ。「大翔」には、ダイショウ君もヒロト君も、「陽菜」には、ヒナちゃんもハルナちゃんもいる。生徒の顔と名前を覚えるのは教員の大事な仕事のひとつであるが、学校に一人しかいない珍しい名前はすぐに覚えても、何人もいる「優香」さんのうち、誰がユカで誰がユウカか間違えてしまって本人をガッカリさせることもある。「漢字はちゃんと覚えているよ」と言い訳しても、姓名を正しく呼ばないと相手は納得しないし、自分の姓名も間違って書かれたり読まれたりするといい気持ちはしない。因みに、私の名前の「孝洋」(タカヒロ)を「考洋」と書かれたことが何度もある。これは読み違いと言うより早とちりの類だろうが、高校生の頃はカッコつけて自ら「コウヨー」と名乗ったりもした。

 ところで、最近は名前を見ただけでは男女の判別が難しい名前も増えてきたが、長さには明らかに男女差がある。長さとは、2音はケン、シュン、アイ、サキなどで、3音はアキラ、カイト、ヒロシ、アカネ、ミサキなど、4音はアキヒロ、ダイスケなど、5音はシュンタロウ、リュウノスケなどである。男性は3音・4音を中心として幅が広いが、女子は2音・3音が圧倒的に多く4音以上は希である。因みに本校職員122名を見ると、男子100名中、3音は46名、4音は52名、5音1名、6音1名である。女子は22名中、3音20名、2音2名である。名前の長さの規定は戸籍法や民法には記載してないし、外国ではほとんど差が見られない国もある。確かに、短い名前の方が呼びやすいであろうが、男性名を見る限り3音と4音に大きな差があるとは考えにくい。女性の方が短い理由はなかなかわからない。

 ところで、氏名の変遷を辿ると、平安時代は「清少納言」とか「藤原孝標の娘」のように女子は一族の子女であるといった形でしか紹介されていない。また、江戸時代は武士だけに氏名が許され、農民には苗字(氏)は与えられず「サブ」とか「ジロウ」と名乗っていた。と考えると、姓名をめぐる男女差の変遷は歴史的な背景によると考えれば納得できる。近年の特徴は、女子の名前に「○○子」がほとんどなく、男女差が区別しにくい名前が増えたことだ。その要因は女性の社会進出と相俟っているのかもしれない。それでも、長さの違いがなぜあるのかその理由はわからない。

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