2014/2/17 月曜日

ゆとり世代大活躍

Filed under: おしらせ — admin @ 7:47:02


文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第119号

              『ゆとり世代大活躍』 
                                  学校長 荒木 孝洋
 ソチ冬季オリンピックが開幕し、若い日本選手の活躍が連日報道されている。今回派遣された日本選手のうち、12%にあたる14名が20才未満だそうだ。最年少はスノーボード・ハーフパイプ男子で銀メダルに輝いた平野歩夢選手、15才の中学3年生だ。同じく銅メダルの平岡卓選手が18才、フィギアスケートの金メダリスト羽生結弦弦選手は19才、女子ジャンプ競技で惜しくも4位になった高梨沙羅選手は17才。いずれも「ゆとり世代」と批判された時代に教育を受けた選手ばかりである。学校と練習や遠征との両立はどうしていたのだろうか?と思うが、活躍に祝意を述べたい。
 話は変わるが、PISA(学力到達度テスト世界統一試験)の成績は、調査を開始した2000年以来、日本は03年、06年、09年と下がりっぱなしであった。(そもそも、PISAの順位低下自体、回を追う毎に参加国が増える中で厳密には比較できないはずだが・・・)それが2012年にV字回復したのである。その時受験した高校1年生(現在16才〜17才)も「ゆとり世代」である。一方、「脱ゆとり教育」と称して、新指導要領による教育が導入されたのが小学校では平成11年から、中学校では平成12年からだから、彼たちはその教育は受けていない。今回のPISAのV字回復を、マスコミは挙って「脱ゆとり教育の成果」と吹聴しているが、一体どんな検証をして、そのようなコメントを出しているのか不思議でならない。
 話はもとに戻るが、そもそも、日本の子どもたちの学力が向上した立役者を求めるなら、それは教育行政当局ではなく受験した高校1年生を育んだ小学校や中学校であり、試行錯誤しながら日夜努力してきた教師達である。振り返ると、「ゆとり教育」真っ直中の2007年から実施された全国学力テストでは、知識力を測るA問題と知識活用力を測るB問題に分け、従来知識力の確保のみに目を向けがちだった教育現場が、PISAで求められる知識活用力の重要性を徹底してきた。「ゆとり教育」こそPISA型学力の目指すところそのものではなかったろうかとさえ考えられる。子ども相手の教育という仕事は急旋回できないから教師は悩む。しかし、方向性さえ定まれば、結果が出るまでタイムラグはあるが、がぜん力を発揮するのが日本の教師力である。
 本校では、2月28日には卒業式を迎える。俗に言う「ゆとり世代」の生徒であるが、過去の生徒と比べても学力が特段低いと思ったことはない。むしろ、表現力やコミュニケーション力は昔の若者よりはるかに優れている気がする。AO入試で慶応大学法学部に合格した天草出身のTさんもそのひとりだ。一度だけ面接の練習をしたが、「官民共同で地域開発を促す法律があることを知り、過疎化でさびれる一方の天草を何とかしたい」との必死の思いが伝わってきた。試験は一次(書類審査)、二次(集団討論)、三次(個人面接)とロングランである。三次試験を終えた彼女は「自分の思いは試験官にも伝わったと思います」と笑顔で受験報告に来た。
 ソチで活躍している「ゆとり世代」の若者の笑顔は実に爽やかだし、コメントや表現も的確で表情も豊かである。マスコミや世間はワンフレーズの言葉で学力低下の原因を論じることが多いが、若者は大人が期待する以上の新しい力を身につけている。グローバル化時代の学力を考えると、「ゆとり」or「脱ゆとり」などという用語で学校教育を語るのはピント外れである。いじめ対策や道徳教育、英語教育などの教育改革が目白押しだが、拙速な改革は避けるべきだと思う。過去や現在をしっかりと分析・検証し未来の教育を創造して欲しい。最も大切なことは現場の教師力を信じることだと思う。

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