2014/12/10 水曜日

兵站(へいたん)

Filed under: おしらせ — admin @ 13:41:10

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文徳中学・高等学校のことをもっと知りたいと思っている小学生・中学生とその保護者の方々へ 第128号

 

                『兵站(へいたん)

                                                   学校長 荒木 孝洋

 

 あと10日ほどで冬休み、子どもたちにとっては待ち遠しい休みだろうが、我々教師にとっては悩ましい時期である。毎年のことだが、この時期は、卒業していく3年生の受験指導と新入生の入試が錯綜するからだ。授業や課外の合間を縫って進路に悩む生徒との面談は、生徒の能力や適性、想いや考え方、家庭環境などを考慮しながら教師と生徒と保護者の相談活動が続くことになる。

 振り返ると、7月に始まったロングランの受験シーズンも中盤を迎え、すでに半数の生徒が進路を決定している。高専編入試験では、熊本高専をはじめとして13名が合格(合格数は九州内の高校でトップ)。就職試験では、上向きな景気とも相俟って民間を受験した38名が内定し、年内には就職率100パーセントを達成できそうだ。公務員は未発表の5名を除いて11名が内定している。一方、大学入試も以前と比べると随分と早くから始まり、AO入試で県立大や九看大などに8名が、推薦入試でも熊大などの国公立大を含め167名(防衛大一次合格25名を除く)が合格している。いずれも学科試験や小論文や面接をクリアーして合格した子どもたちだ。この子たちは級友の受験勉強の傍らで一足早く巣立ちの準備にはいることになる。そして、残りの半数がこれから始まるセンター試験、私大一般入試、国公立個別試験に臨むことになる。

 ところで、「戦争のプロは兵站(へいたん)を語り、素人は戦略を語る」と言う言葉を聞いたことがある。兵站とは、兵器や弾丸、そして食料を指すそうだ。どんな素晴らしい戦略があっても兵站がなければ戦争には勝てない。無謀な指揮官の突撃命令でほぼ全員が討ち死にしたインパール作戦の失敗は兵站の不足にある。受験を戦争に例えるのは不謹慎かもしれないが、仕組みは似ている。受験の兵站は意欲と学力と経済力である。経済力は親に担っていただくことになるが、やる気だけで受験に向かうのは竹槍で敵の鉄砲と戦うようなものである。難関を突破するのに最も大切な兵站は学力、しかも、学力はすべて本人の努力にかかっている。受験情報が錯綜している昨今、「やる気があれば全て解決!バラ色の人生を保証します」などの安易な勧誘が跋扈しているから、学力という兵站に不安があると騙されてしまう。世の中はそんなに甘くない。安易な進路決定の習性が染みつくと社会に出たとき痛い目に遭う。厳寒の折だが、全身全霊を持って学習に専念し難関をクリアーしてくれることを祈っている。

 一方、年が明けると新入生を迎える準備が始まる。1月21日が専願・奨学入試、2月17日が一般入試。特に、熊本は都会と違って公立志向の強い県だから私学は入学者確定が遅くなる。「受験者が何人いるかな?」「入学者数は?」「教室や教員は足りるかな?」などと、悩みは変化しながら3月末まで悶々と胃の痛む日が続くことになる。数年前こんな夢を見た。今でも思い出すとゾッとする。「入学式当日、式辞を読もうとして前方を見ると、入学生がひとりもいない」・・・悪夢から目が覚めて、ふと思った。「文徳のセールスポイントは何なんだろう?」と、つまり、「文徳の兵站は何か?」ということだ。動物が生きていくための兵站は『水と食料と太陽』の三つだが、人間には『学び』が加わる。その『学び』を支援するのが教育の営み、文徳は『凡事徹底』『教師の熱意』『快適な学びの環境』の三つの兵站を根幹に据えた教育活動を推進している。本校は、広報戦略としての新聞やテレビでの広報は一切行っていない。「三年後に、親もタマガル子どもにしてお返しする」のが唯一の広報だと思っているからだ。

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